「商業登記のデジタル完結に向けて残された課題の整理」CeSSAさんのセミナー講師を努めました

クラウド型電子署名サービス関係事業者の全国団体の、「CeSSA(一般社団法人クラウド型電子署名サービス協議会)」さんからオファーを受け、2025年2月18日、2024年度第2回 WEBセミナーの講師を努めました。テーマは「商業登記のデジタル完結に向けて残された課題の整理」。

CeSSA 正会員 (2024年4月1日現在)

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https://www.cessa.or.jp/members

司法書士の立場から、登記のデジタル完結に向けて残された課題を整理し、随所で法務省・デジ庁への要望を述べ、最後に僭越ながら、電子署名サービス事業者に対する要望・提言を行いました。

課題整理の前提として、司法書士の具体的業務をどこまで描写するかに苦心しましたが、セミナー後のアンケートで、思いのほか、好評の声も頂けて安堵しました。

2025/02/28 2024年度 第2回セミナーを開催しました。【イベントレポート】
https://www.cessa.or.jp/news/z4S-PvB6

以下、当日セミナーのハイライトです。

↑構成は、商業登記のデジタル完結の定義を述べたのち、本人申請と代理申請とに分けてデジタル完結の課題を整理。

時間50分にも関わらず、思いが溢れてスライドは100枚弱で怒涛の展開に。

↑当初は、代理申請におけるデジタル完結に焦点を当てようかと思うも、本人申請でのオンライン申請(オンライン申請+書面提出)の比率が致命的(2023年 概算6% YOSHIDA OFFICE調べ)で避けては通れないだろうと、本人申請の課題も盛り込む。

↑本人申請は、①電子証明書②ソフトの問題を指摘。

↑会社実印レベルの電子証明書の拡大・マイナンバーカードの普及・商業登記電子証明書の今後の普及施策により、①代表者の電子証明書の問題はクリアしつつある。

↑本人申請における課題の2つ目として、申請用総合ソフトの使いにくさを挙げる。

↑法務省の主な対応として、ⅰ 法人設立ワンストップサービスの展開、ⅱ かんたん登記申請のリリース、ⅲ 登記・供託オンラインシステムのAPI開放がなされているが、効果は今ひとつ。

↑全ての登記のデジタル化を目指すのでなく、まずは上位4種のデジタル化を目指すのはどうか。

また、官民でもデジタル化対応が進む設立登記であるが、これは全体の10%に過ぎない。オンライン申請率引き上げの本丸は、5割弱を占める役員変更登記。

↑本人申請のオンライン比率向上のため、法務省・デジタル庁には、「かんたん登記申請」における対象登記の拡大を求めたい。

また、自戒を込めて、司法書士自身も代理申請の価値を世に提供しつつ、企業との接点を拡大することが必要かと。

↑商業登記のデジタル完結のための代理申請の課題は、以下の3つの観点から整理。
Ⅰ リーチ(情報・知識の不足)
Ⅱ コスト(ヒアリング・説明・検証の手間・費用)
Ⅲ インセンティブ(補正困難・設立以外優先処理なし)

↑Ⅰ リーチ(情報・知識の不足)に対しては、自身の草の根活動として、書籍の刊行や同業者向け研修の実施を行っていることや、まずは、デジタル完結の一歩目として、完全オンライン申請とオンライン申請の中間(ハイブリッド)を推奨していることを述べる。


↑Ⅱ コスト(ヒアリング・説明・検証の手間・費用)として、完全オンライン申請の場合は、オンライン申請と比較して、司法書士にとっての作業負担が増えることを可視化。

↑Ⅱ コスト面での課題への各段階での対応・方策を述べる。

2回目以降の完全オンライン申請は、当事者の作業負担が大幅に減るので、いかに初回の完全オンライン申請を乗り切るか。

↑Ⅲ インセンティブ面の課題に関して。司法書士は、デジタル化意向のないクライアントに、コストをかけてリスクをとって、デジタル完結を薦めるインセンティブに乏しい。

↑添付情報をオンライン送信した場合、登記申請前後の捨印修正が利かず、司法書士は完全オンライン申請に舵を切りにくい。

↑司法書士は成果物(完了後登記簿)に基本的に差が生じないため、それ以外の要素で差別化が重要。

登記完了までの日数短縮は、クライアントにとっても分かりやすい利があり、司法書士にとって大きなインセンティブに。

↑登記完了までの日数が1か月程度かかる法務局が増えつつある昨今、設立登記以外も、完全オンライン申請の場合は優先処理対象としてはどうか(例えば、役員全員重任登記等から)。

以上が、代理申請においての商業登記のデジタル完結に関しての課題でした。

↑最後に、電子署名サービス事業者さんへの具体的な提言を述べて、質疑応答の時間へ移りセミナー終了。このたびは、光栄なオファーを頂きまして誠にありがとうございました。

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