質問
自然人が、合同会社を介して申出会社の議決権を間接保有する場合でも、法務局から実質的支配者リストの交付を受けることは可能なのでしょうか?
(下図でB社が「合同会社」である場合を指します)
回答
可能な場合もありえます。
理由
犯収法施行規則11条3項2号では「当該自然人がその議決権の総数の二分の一を超える議決権を有する法人」が支配法人であると規定されております。合同会社は会社法上は議決権の規定がない法人です。よって、合同会社は支配法人に該当しないとも読めます。ただし、そうなると、合同会社を資産管理会社として株式保有させている会社の多くが本制度の対象外に…
一方で、合同会社は、その定款内容により、株式会社同様に、出資比率に応じて(あるいは応じずに)社員(=出資者)へ議決権を付与することも可能であり(会社法590条2項) 、「当該自然人がその議決権の総数の二分の一を超える議決権を有する法人」として 支配法人たりえるとも考えられます。
東京法務局に照会したところ、自然人が合同会社を介して申出会社の議決権を間接保有する場合も実質的支配者リストの発行は可能(合同会社の社員が一名の場合や合同会社が定款の定めにより特定の自然人である社員に50%を超える議決権を与えている場合)との見解でした。
ただし、その場合でも合同会社の“社員名簿”や“定款”は添付不要となります(不要というよりも不可。あくまで添付できるものは、支配法人の“株主名簿”の写し))。合同会社が支配法人となる場合は、支配関係図のみで審査されるとのことです。
(上記は、2022年2月8日時点、あくまで東京法務局本局法人部門の見解であり、他管轄では、異なる見解を取ることも有りえます点をご了承ください。)
ともあれ、支配法人たる合同会社の社員が一名のときも支配者リストが発行可能とあれば対象は拡がりますね。