「世界で一番企業が活動しやすい国」G20内1位を目指すということ(1/3)

政府は、本国を「世界で一番企業が活動しやすい国」とすべく、世界銀行の「ビジネス環境ランキング」にて 2030年までにG20内1位を達成すべき目標として立てました。

現在、「世界で一番企業が活動しやすい国」の実現に向けて、2020年までに世界銀行の事業環境ランキングにおいて先進国3位以内を目指すというKPIを掲げています。(中略)。このため、新たなKPIとして、2030年のG20の国の間で1位、G20内で1位という目標を掲げて、KPIを掲げて改革を断行することといたしました。

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年4月20日(内閣府)https://www.cao.go.jp/minister/1909_y_nishimura/kaiken/20200420kaiken.html

本記事では、世界銀行の「ビジネス環境ランキング」とは、どのような指標で算出されているのか、次記事以降では、日本のビジネス環境はどのように評価されているか、そして、日本が「世界で一番企業が活動しやすい国」としてG20内1位を取るためにどのような施策が採られているのかを確認していきます。

マクロの視点で俯瞰することで、ミクロの施策を理解していくことが狙いです。


■世界銀行ビジネス環境ランキング(2020年)

◆190か国内での順位

2019年秋に発表された、世界銀行のビジネス環境ランキング(2020年)で、日本は、190か国中のうち29位という結果でした。OECD先進国の中では、36か国中の18位です。

ビジネス環境ランキング2020(世界銀行)https://www.doingbusiness.org/en/rankings

上記表から、G20の国家を抜粋したものが下記の表であります(EU除きます)。

◆190か国>G20内での順位

G20内で日本は現状8位です。ここで1位を目指すとは、下位国の追随をかわしながら、上位国の韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、ロシアを抜き去るということです。では、このランキングはどのような指標で算出されているのでしょうか。


◆190か国>G20>日本のビジネス環境

世界銀行のビジネス環境ランキングは、10分野における指標(①起業のしやすさ ②建設許可 ③電力 ④不動産登記 ⑤信用供与 ⑥投資家保護 ⑦納税 ⑧輸出入 ⑨契約執行 ⑩破綻処理)の評価が数値化され、それらの単純平均がランキングとして算出されています。日本の各分野における190か国中の順位が下記のグラフです。

THE WORLD BANK.EASE OF DOING BUSINESS INJapan(2020), https://www.doingbusiness.org/en/data/exploreeconomies/japan#DB_sb

日本は、10分野における指標のうち、「Starting a Buisness(起業のしやすさ)」につき190か国中106位と、もっとも低い順位を叩き出しています。

ビジネス環境ランキングの順位を上げるには、この「Starting a Buisness(起業のしやすさ)」の改善が急務となります。


◆日本のビジネス環境>起業のしやすさ

では、「Starting a Buisness(起業のしやすさ)」はどのように算出されているのでしょうか。4つの指標[①Procedure(手続きの数)、②Time(日数)、③Cost(費用)、④Paid-in min.capital(最低資本金額)]の数値を評価して、ランキング付けされています。下記表は、「Starting a Buisness(起業のしやすさ)」をG20内で上位から順に並べたものです。

上記表より、日本で起業するには、①手続きの数が多く(8項目)、②多くの日数(11日間)と③多くの費用(一人当たり所得の7.5%*)を要し、④最低資本金額は一人当たり所得の0%(1円)であるということが分かります。

*③の起業費用の概算について(一人当たり所得の7.5%)
日本の一人当たり所得はおよそ440万円とされているので、起業の費用は、440万円*7.5%=33万円として算出されています。なお、後述のとおり、本調査では、前提として、合同会社の形態で一人当たり所得の10倍の資本金(4400万円)での設立が想定されています。

https://www.doingbusiness.org/en/data/exploreeconomies/japan#DB_tax

一方で、上位国は、①手続きの数は2~4つ、②期間は1.5~4.5日、③費用は0.3~1%程度であることがわかります。


◆調査の前提

調査の前提として着目すべき点を以下抜粋します。

The business:* Is a limited liability company (or its legal equivalent). If there is more than one type of limited liability company in the economy, the limited liability form most common among domestic firms is chosen. Information on the most common form is obtained from incorporation lawyers or the statistical office.

→本調査には、国内企業で最も一般的な有限責任会社(LLC)が選択されるとのことで、日本では設立対象として合同会社が選択されています。

Procedures that must be completed in the same building but in different offices or at different counters are counted as separate procedures.

→手続きの数は、同じ建物でも窓口が異なるものはそれぞれ一つずつカウントされます。

It includes all official fees and fees for legal or professional services if such services are required by law or commonly used in practice.

→費用は、公式料金と法的に義務付けられるサービス料との総和です(例えば、司法書士への依頼は法的義務ではなく本人申請でも足りるため、その報酬は加算されていないということです)。

It is assumed that the minimum time required for each procedure is one day, except for procedures that can be fully completed online, for which the minimum time required is recorded as half a day.

→各手順に必要な最小時間は1日(完全オンラインの場合は半日)を想定、同時に行われる手続きでも同日には開始されません(同時手続きは連続した日に開始されます)。

The business:* Has start-up capital of 10 times income per capita.

→資本金は、一人当たり所得の10倍と設定されています。

上述のとおり、日本の一人当たり所得はおよそ440万円と設定されているので、資本金は、4400万円で仮定されています(登録免許税は、4400万円*0.007=30万8,000円)。

引用:THE WORLD BANK.Starting a Business methodology(2020),https://www.doingbusiness.org/en/methodology/starting-a-business

留意すべきとしては、合同会社での設立であり、資本金4,400万円を想定したうえでの各国比較がなされていることです。次記事では、日本国における①Procedure(手続きの数)、②Time(日数)、③Cost(費用)の内容を確認します。

次の記事:「世界で一番企業が活動しやすい国」G20内1位を目指すということ(2/3)

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