(前回の記事):「世界で一番企業が活動しやすい国」G20内1位を目指すということ(1/3)
(前回記事のまとめ)
政府は、本国を「世界で一番企業が活動しやすい国」とすべく、世界銀行のビジネス環境ランキングにて2030年までにG20内1位という目標を立てています。2019年10月発表の当ランキングでは、G20内8位でした。
当ランキングは、10分野における指標(①法人設立 ②建設許可 ③電力 ④不動産登記 ⑤信用供与 ⑥投資家保護 ⑦納税 ⑧輸出入 ⑨契約執行 ⑩破綻処理)を元に評価されます。日本は、10の指標のうち、①法人設立(起業のしやすさ)の評価が190か国中106位ともっとも低い数値を叩き出しており、上位を目指すには本項目の改善が急務となっています。
①法人設立(起業のしやすさ)は、(1)手続きの数(2)日数(3)費用(4)最低資本金という4つの指標により評価され、日本におけるそれぞれの評価は下記となります。
日本で起業するには、(1)手続きの数が8項目あり、(2)11日間と、(3)一人当たり所得の7.5%の費用を要し、(4)最低資本金額は一人当たり所得の0%(1円)であるとの結果が出ている。
以上が、前回記事のまとめです。本記事では、日本での起業の(1)手続きの数(2)日数(3)費用(4)最低資本金の内容について確認します。
上記グラフは、横軸が日本(東京)で起業する際の各段階の手続きを表し、縦軸(左)が各手続きに要する日数(青棒)、縦軸(右)が各手続きに要する費用(黄点)を示したものです。
2、3番目の手続きに日数が(青棒が長い)、3番目の手続きに費用が(黃点が高い)かかり、手続きの回数(横軸の数が多い)が要されていることが読み取れます。
前回記事で述べた通り、本調査は合同会社での設立を前提としているため、定款認証手続きはなく、また登録免許税の下限は6万円となっています。また、資本金は一人当たり所得の10倍として4400万円と仮定されています(そのため登記申請の費用として登録免許税が30万8,000円かかる)。なお、特定業種の許認可に係る申請、費用は考慮されていません。
各手続き、時間、費用の内容については下記の通りです。
比較対象として、起業のしやすさについてG20内で最上位であるカナダの手続き、時間、費用は下記です。
シンプルで早くて安いですね。200カナダドルは、約16,000円です(2020/07/23)。
以上より、日本での起業のネックは下記が主であるといえましょう。
(1)印鑑作成と登記申請に日数がかかる
(2)登記申請の費用が高い
(3)窓口が不統一、手続き回数が多い
日本政府は、当ランキングにて2030年までにG20内1位を目指すため、起業のしやすさに主として関連するところでは、下記のロードマップを敷いています。
抜粋すると、
・全手続のワンストップ化(定款認証及び設立登記含む)
・24時間以内の設立登記処理
・完全オンライン化
・印鑑届出の任意化
上記施策が実現されたあとの手続き概観は下記のように変化します。
(1)手続きの数は8項目→2項目
(2)手続きの日数は11日間→2日間
と、随分シンプルな手続きとなり、起業のしやすさに関する指標数値は大幅に改善されます。しかし、これだけでは不十分です。次回記事に続きます。