これからの規制改革の内容につき抜粋(令和2年12月21日規制改革推進会議より)

令和2年12月21日、規制改革推進会議が開かれ、これまでの進捗の確認と2021年以降の取り組みの指針が示されました。

以下、「書面・押印・対面の見直し」における分野から興味深いものを抜粋します。

引用元:
第48回国家戦略特別区域諮問会議 第2回 規制改革推進会議 議長・座長会合  議事次第
「当面の規制改革の実施事項(案)」
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/coremeeting/20201221/agenda.html

(1)行政手続における書面・押印・対面の見直し

ア 押印の見直しに関する法令改正【令和2年度措置】

国民や事業者等が行政機関に申請等を行う際に押印を求めてきた約1万5千種類の手続のうち、現時点において厳格な本人確認等のために押印が必要であるとされた 83 手続を除く全ての手続について、押印がなくとも手続を行うことができるよう、原則として年内に政省令、通達等の改正を行う。また、見直しに必要な法律案を次期通常国会に提出する。

イ 書面・対面の見直し【令和7年度までに措置】

国民や事業者等が行政機関に申請等を行う約2万2千種類の手続のうち、約1万9千種類のオンライン化未実施の手続については、性質上、オンライン化が適当ではないとされる手続 643 種類を除いて、5年以内に、可能なものから速やかにオンライン化する。
その際、既存の情報システム(マイナポータル、e-Gov 等)の利用を第一としつつ、既存の情報システムでは対応できない場合や、件数が少なく費用対効果が見込めない等の観点から情報システムの整備等が適当ではない場合には、e メールでの提出や簡易な申請ウェブサイトによるオンライン提出の手続を整備することも検討する。
上記性質上オンライン化が適当でないとされる手続 643 種類についても、最新の技術を踏まえて、補完的手段の活用可能性を含めてオンライン化ができないか厳しく検証する。

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エ 行政におけるクラウド型の電子署名の活用【a:令和2年度中に速やかに措置、b:速やかに措置】

a 財務省及び総務省は、当面の措置として、国及び地方公共団体の契約においてクラウド型の電子署名が利用できるよう必要な省令改正等を行う。
b 電⼦署名及び認証業務に関する法律(平成 12 年法律第 102 号)を所管する総務省、法務省及び経済産業省は、国や地方公共団体の契約におけるクラウド型の電子署名の利用の円滑化にも資するよう、グレーゾーン解消制度を活用して、個別の民間企業から電子署名法第2条の該当性について確認を求められた場合には、当該制度に沿って、当該サービスの電子署名法2条への該当性を明らかにするとともに、ホームページ等において一覧性をもって分かりやすく示す。

【関連】弁護士ドットコム 電子署名で行政向けプラン
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ131BP0T11C20A2000000

オ 国家資格に係る講習等のオンライン化【可能なものから速やかに措置】

各府省は、総務省行政評価局の実態調査の結果も踏まえ、法令に基づく講習等について、オンライン化に取り組む。

ク 個別分野におけるオンライン利用率の大胆な引上げ

各府省は、手続件数が特に多いものや事業者からの要望が強いものなどから旗艦的なものとして選定した下記の 28 事業(関連手続を一括化して取り組む)について、オンライン利用率を大胆に引き上げる目標を設定し、速やかに必要な取組を行う。
また、各府省は、オンライン利用率を引き上げる上での課題を分析し、当該課題を解決するための具体的な取組及び中間KPIを明らかにした基本計画を作成し、取組を行う。取組に当たっては「地方公共団体と事業者との手続のオンライン化」に記載の①~⑤の必要性について検討を行い、必要な措置を講じるべきである。取組の進捗状況やKPIの達成状況については、分かりやすい形で定期的に公表するとともに、少なくとも年に一回、第三者的なチェックを受ける。
各府省は、基本計画に従い、オンライン利用率が初期のフェーズにあるものは少なくとも 20%以上を目指し、中程度のフェーズにあるものは概ね 50%以上を目指し、終盤のフェーズにあるものは 100%を視野に入れて取り組む。

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(2)民間の手続の書面・押印・対面の見直し

ア 電子帳簿等保存制度の見直し【次期通常国会に法案提出】

財務省は、電子帳簿保存法(平成 10 年法律第 25 号)に基づく帳簿書類の電子保存につき、特に中小企業・個人事業者における需要の高まりも踏まえ、領収書等の原本に代えてスキャナ画像を保存できる制度の利用に当たり税務署長の事前承認を不要とし、領収書等受領後の自署要件の廃止、領収書等スキャン後の廃棄可能化、タイムスタンプの付与の期限を概ね3営業日から2月以内に拡大するなど要件の大幅な緩和を行う。


イ 領収書の電子化に向けた見直し【次期通常国会に法案提出】

法務省は、民法(明治 29 年法律第 89 号)第 486 条において交付請求を可能としている弁済に係る受取証書について、電磁的記録の提供の請求を可能とするよう改正措置を講じる。

ウ 新たな情報システムを利用した債権譲渡通知等に関して【特別法での対応を含め、速やかに法案提出】

経済産業省、法務省は、SMS(Short Message Service)等による通知又は承諾が、債権譲渡の第三者対抗要件としての確定日付のある証書による債権譲渡の通知又は承諾として取り扱われるようになることを目指した取組があることを踏まえ、新たな情報システムを利用した債権譲渡の通知等により第三者対抗要件を具備することが一定の要件のもとで可能となるよう、適切な措置を講じる。

規制のサンドボックス制度の認定案件で実証中のものですね。

エ ウェブ開示によるみなし提供制度の対象拡大措置の恒久化、バーチャル型株主総会の利用促進
【a:令和2年度中できるだけ早期に措置、b:令和2年度措置、c:次期通常国会に法案提出】


a 法務省は、令和3年3月及び6月に開催される株主総会について活用可能となるよう、株主総会資料のウェブ開示によるみなし提供制度の対象を拡大する措置を講じる。
b 経済産業省は、株主総会プロセスにおける企業と株主による対話の充実に向けて、ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施の推進のため、実施ガイドなどのさらなる充実を図る。
c 経済産業省及び法務省は、来年の株主総会に向けて、バーチャルオンリー型株主総会を開催できるよう、適切な措置を講じる。

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オ 特定商取引法の特定継続的役務提供に係る契約前後の書面交付の電子化【次期通常国会に法案提出】

消費者庁は、特定商取引に関する法律(昭和 51 年法律第 57 号)第 42 条において特定継続的役務提供契約(特定権利販売契約)の際に義務付けている概要書面、契約書面について、消費者の利益の確保の方法や電磁的方法により送付した場合のクーリング・オフ期間の起算点等を整理した上で、電磁的方法による提供を可能とするよう、改正措置を講じる。


カ 不動産賃貸・売買等の契約に係る書面の電子化、不動産取引におけるIT重説の実現
【a: 次期通常国会に法案提出、b:令和2年度検討、令和3年度上期措置】


a 国土交通省は、不動産の賃貸・売買・媒介の契約を締結した際に宅地建物取引業者が交付することとなっている書面及び重要事項説明書等について、電磁的方法による提供を可能とするよう、宅地建物取引業法(昭和 27 年法律第 176号)の関連規定について改正措置を講じる。
b 国土交通省は、売買取引におけるITを活用した重要事項の説明について、令和2年度中に社会実験の結果を取りまとめ、検証検討会を開催した上で、特段の問題等がなければ、早急にガイドラインを改定し、テレビ会議等による非対面の説明が可能である旨を明らかにする。


キ 借地借家法における書面の電子化【次期通常国会に法案提出】

法務省は、借地借家法(平成3年法律第 90 号)において義務付けている、定期借地権の特約に係る書面(同法第 22 条)、定期建物賃貸借契約の締結に係る書面(同法第 38 条第1項)及び事前説明書面の交付(同条第2項)について、電磁的方法によることを可能とするよう、改正措置を講じる。

2020年は脱押印でしたが、2021年以降は脱書面、脱対面が進んでいく様子。

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