取締役会書面決議の同意(法370条)はクラウドサインでも可能か

可能と解されます。

理由

定款に取締役会決議を省略する旨の規定があり、取締役の全員が書面または電磁的記録により同意し、かつ、監査役が異議を述べないときは、取締役会決議を省略することが可能です(会社法370条)。

(取締役会の決議の省略)
第三百七十条 取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

(ちなみに、この取締役会の決議の省略は、「書面決議」または「みなし決議」と呼ばれています。もっとも、電磁的記録によっても同意の意思表示ができることより「書面・・決議」との呼称は語弊があります)

そして、「電磁的記録」による「同意の意思表示」については、電子メールで同意することも可能と解されています(『取締役・執行役ハンドブック(第三版)』85p)。

その他、「電磁的記録」による「同意の意思表示」として、「会社の指定してきたウェブサイトにインターネットを通して同意の意思表示を送付する」方法が可能ともされています(同文言株主総会書面決議の「電磁的記録により同意の意思表示」につき、『会社法コンメンタール(7)』314p)。

クラウドサインやGMOサイン等のクラウド型電子署名は、まさに「会社の指定してきたウェブサイトにインターネットを通して同意の意思表示を送付する」方法によって電子署名を行うサービスです。

したがって、取締役会書面決議の同意(法370条)は、クラウドサインやGMOサイン等を用いたクラウド型電子署名での同意も可能であるものと解されます。

同じ理由で、株主総会書面決議の同意(法319条)も、クラウドサインやGMOサイン等を用いたクラウド型電子署名での同意も可能であるものと解されます。

参考文献:
『取締役・執行役ハンドブック(第三版)』(中村直人編著、商事法務)
『会社法コンメンタール(7)』(商事法務)

タイトルとURLをコピーしました