代表者住所非表示措置(2026/12/1全法人拡大)申出の方法・必要書類・費用を司法書士が解説

令和6年(2024年)10月1日から、代表取締役等住所非表示措置という新しい制度がスタートしました。これは、登記事項証明書等に代表取締役・代表執行役・代表清算人(以下「代表取締役等」)の住所の一部を非表示にできる仕組みです。

📢 2026年12月1日から、合同会社・一般社団法人など全ての会社・法人に拡大
令和8年10月30日の官報で「商業登記規則等の一部を改正する省令」(令和8年法務省令第51号)が公布されました。12月1日からは、合同会社・合名会社・合資会社・特例有限会社・外国会社、一般社団法人・一般財団法人、医療法人・社会福祉法人などの各種法人、投資法人、特定目的会社、LPS・LLPでも、代表者などの住所を非表示にできます。制度の名称も「代表者等住所非表示措置」に改められます。詳しくは次の「2026年12月1日からの改正」で解説します。

「自宅住所を非表示にしたい」という方から多くご相談をいただいていますが、申出できるタイミングや必要書類に細かなルールがあります。本記事では、実務上のポイントを整理してご説明します。

📋 この記事のポイント

  • 住所非表示措置は「いつでも」申出できるわけではない
  • 申出できるのは現在は株式会社のみ。2026年12月1日からは合同会社・一般社団法人・医療法人などすべての会社・法人に拡大され、支配人の住所も対象に
  • 必要書類は会社の状況(上場・非上場)によって異なる
  • 代表者の住所変更があった場合は改めて申出が必要
  • 利便性への影響(融資・不動産取引等)を事前に検討することが重要
  • 申出自体は無料(併せて申請する登記の登録免許税はかかる)
  • 非表示にした後も、附属書類の閲覧などで正確な住所は確認できる

💡 YOSHIDA OFFICEは代表取締役住所非表示措置の申し出(オンライン)に対応しています
ご依頼はこちらから(手続報酬税込22,000円+郵送費1,000~2,000円)

【2026年12月1日施行】全ての会社・法人に拡大

令和8年10月30日の官報(号外第238号)で「商業登記規則等の一部を改正する省令」(令和8年法務省令第51号)が公布され、令和8年12月1日から施行されます(同省令附則1条)。株式会社に限られていた住所非表示の仕組みが、全ての会社と、会社以外の法人等に広がります。制度の名称は「代表取締役等住所非表示措置」から「代表者等住所非表示措置」に改められます(改正後の商登規則31条の3第1項)。

対象になる法人と住所非表示対象

法人の種類住所を非表示にできる人根拠
株式会社代表取締役・代表執行役・代表清算人、支配人改正後の商登規則31条の3第1項
特例有限会社取締役・監査役・清算人(代表者を含む)、支配人改正省令附則3条
合同会社代表社員(代表社員が法人の場合の職務執行者を含む)、清算人、支配人改正後の商登規則31条の3第1項
合名会社・合資会社社員(社員が法人の場合の職務執行者を含む)、清算人、支配人同上
外国会社支配人など(日本における代表者は対象外)同上
一般社団法人・一般財団法人(公益法人を含む)代表理事などの代表者一般社団法人等登記規則3条
医療法人・社会福祉法人・NPO法人・学校法人・宗教法人などの各種法人理事長などの代表者、代理人。司法書士法人・税理士法人などの士業法人は社員、日弁連・弁護士会は副会長を含む各種法人等登記規則5条
投資法人代表者(執行役員)投資法人登記規則3条
特定目的会社(TMK)代表者(取締役・監査役を含む)特定目的会社登記規則3条
投資事業有限責任組合(LPS)無限責任組合員・清算人(法人の場合の職務執行者を含む)投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則8条
有限責任事業組合(LLP)組合員・清算人(法人の場合の職務執行者を含む)同上

出典:官報 令和8年10月30日(号外第238号)55〜64頁の改正条文をもとにYOSHIDA OFFICE作成

必要書類

添付書面の組み立ては、現行の株式会社の仕組みとほぼ同じです(改正後の商登規則31条の3第1項・第2項)。

申出の区分添付書面
上場会社以外の会社の代表者、一般社団法人・各種法人・投資法人・特定目的会社・LPS・LLPの代表者等①本店(主たる事務所)の実在性を証する書面
②代表者の住所の公的証明書(住民票・印鑑証明書等)
③実質的支配者の本人特定事項を証する書面
上場会社以外の会社の支配人(各種法人の代理人を含む)支配人本人の住所の公的証明書のみ
上場会社(外国の法令に準拠した株式会社と同種の法人を含む)上場されていることを認めるに足りる書面
独立行政法人等添付書面不要
既に措置が講じられている法人(支配人等の措置だけが講じられている場合を除く)対象者の住所の公的証明書のみ(①③、上場の書面は不要)

日本に営業所を設けていない外国会社は、①の代わりに、日本における代表者(日本に住所がある者)がその住所地に居住していることの確認書面などを使います。

改正規則施行で変わらない点・明記された点

  • 申出は引き続き、代表者等の住所が登記すべき事項に含まれる登記の申請と同時に限られます。非表示措置だけを単独で申し出ることはできません(改正後の商登規則31条の3第1項)。
  • 過去に登記された住所や、退任した人の住所を非表示にする規定は設けられていません。
  • 登記情報提供サービスでも非表示になります(電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則1条の2第2号の2)。
  • 官公署の嘱託による登記には適用されません(改正後の商登規則40条1項)。
  • 2026年12月1日の時点で既に講じられている株式会社の措置は、そのまま新しい制度の措置とみなされます。改めて申し出る必要はありません(改正省令附則2条)。

株式会社以外の会社・法人について

💡 2026年12月1日以降の登記と同時に申し出る
合同会社の代表社員の変更・住所変更、一般社団法人の代表理事の重任、医療法人の理事長の変更、本店(主たる事務所)の移転などの登記を予定している方は、その登記と同時に住所非表示措置を申し出ることができます。予定が12月1日の直前の方は、申請日を12月1日以降にずらすかどうかもご相談ください。

出典:官報 令和8年10月30日(号外第238号)「商業登記規則等の一部を改正する省令」(令和8年法務省令第51号)

※以下の記事は、現行の株式会社の制度(2026年11月30日まで)を基に解説しています。12月1日以降も基本的な仕組みは同じですが、条文の項番号などは上の改正解説をご確認ください。

1. 制度の概要

従来、商業登記の登記事項証明書には代表取締役等の住所が番地まで記載されており、誰でも閲覧できる状態でした。この措置を申請すると、市区町村(東京23区・政令指定都市は「区」)までしか表示されなくなります。

たとえば「東京都千代田区霞が関一丁目1番1号XXマンションXX号室」が「東京都千代田区」という表示になるイメージです。

非表示になるのは、登記事項証明書・登記事項要約書・登記情報提供サービスでの表示です。インターネットの登記情報提供サービスで取得した登記情報でも、住所は市区町村までしか表示されません。

登記簿上の代表取締役住所のイメージ

非表示なし:東京都千代田区霞が関一丁目1番1号XXマンションXX号室
      代表取締役 XXXX

非表示あり:東京都千代田区
      代表取締役 XXXX

⚠️ 代表住所のすべての部分が非表示になるわけではない

市区町村(東京23区・政令指定都市は「区」)までしか表示されなくなります。つまりは、非表示措置が行われても都道府県と市区町村(東京23区・政令指定都市は「区」)は代表住所として表示されます。

⚠️ 非表示措置は「過去」の住所には遡及しない
例えば、重任登記と同時に申出をした場合、それ以前に登記されていた代表住所は非表示になりません。申出と同時に登記される代表住所のみが対象です。

⚠️ 住所移転(引っ越し)の場合は住所変更登記が必要
引っ越し等により、代表住所で非表示とされている部分が変更となる場合でも、変わらず代表住所の変更登記が必要となります(上記例で言えば千代田区内での引っ越しの場合でも住所変更登記が必要)。なお、引っ越しで非表示外の部分も含めて変更となる場合も当然に住所変更登記が必要です(都道府県や区の引っ越し等)。

⚠️ 住所非表示で不利益になる点がないか要確認
住所非表示措置を講じると、登記事項証明書による代表者住所の証明ができなくなります。金融機関からの融資や不動産取引で必要書類が増えるなど、一定の影響が生じる場合があります。申出前に十分ご検討ください。

💡 申出自体は無料
住所非表示措置の申出には、登録免許税も手数料もかかりません。登録免許税は「登記」に課される税金で(登録免許税法2条・別表第一)、非表示措置の申出は登記ではないためです。
ただし、非表示措置の申出は登記の申請と同時にしかできないため、併せて申請する登記の登録免許税は通常どおりかかります。

併せて申請する登記(例)登録免許税根拠(登録免許税法別表第一)
代表取締役の就任・重任・住所変更(合同会社の代表社員の変更なども同じ)1万円(資本金1億円超の会社は3万円)第24号(一)カ
管轄外への本店移転旧本店・新本店でそれぞれ3万円第24号(一)ヲ
株式会社の設立資本金の0.7%(最低15万円)第24号(一)イ
合同会社の設立資本金の0.7%(最低6万円)第24号(一)ハ
非表示措置の申出0円—

このほか、住民票の写しなどの取得費用や、配達証明郵便の郵送料などの実費がかかります。司法書士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。

2. 申出できる会社・対象者

対象となる会社

2026年11月30日までは株式会社のみが対象です(商登規則31条の3第1項)。以下の会社・法人は、2026年12月1日から代表住所非表示の対象になります(冒頭の改正解説を参照)。

  • 特例有限会社
  • 合同会社・合名会社・合資会社(持分会社)
  • 一般社団法人・一般財団法人(公益社団法人・公益財団法人を含む)
  • 医療法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人、NPO法人(特定非営利活動法人)など
  • 事業協同組合・農業協同組合などの協同組合
  • 司法書士法人・税理士法人・行政書士法人・弁護士法人などの士業法人
  • 独立行政法人・国立大学法人など
  • 投資法人、特定目的会社(TMK)
  • 投資事業有限責任組合(LPS)、有限責任事業組合(LLP) など

対象となる役員

代表取締役のほか、代表執行役と代表清算人も対象です。2026年12月1日からは、合同会社の代表社員や一般社団法人の代表理事等も対象となります。

💡 外国に住んでいる代表者

外国に住んでいる代表者の住所も対象です。非表示にする範囲は日本の行政区画に準じて決まり、申請人が「どこから非表示にするか」を指定することはできません。登記官から照会がある場合もあります。

3. 申出できるタイミング

住所非表示措置の申出は、以下のいずれかの登記申請と同時に行う場合に限られます(商登規則31条の3第1項前段)。

申出ができる登記(株式会社に限る)申出ができない登記(例)
設立登記(新設合併・新設分割・株式移転・組織変更による設立を含む)—
代表取締役・代表執行役・代表清算人等の就任・重任登記(代表権付与による就任を含む。複数名のうち一部の者のみも可)取締役・監査役・執行役・清算人の就任・重任登記
代表取締役等の住所変更登記代表取締役等の住所更正登記
—代表取締役等の氏名変更登記
管轄外本店移転の場合の新本店所在地における登記管轄外本店移転の場合の旧本店所在地における登記

📢 2026年12月1日以降の規定
改正後は、申出できる登記を列挙する形ではなく、「代表者等の住所が登記すべき事項に含まれる登記の申請」と同時に申し出ることができる、という規定に改められます(改正後の商登規則31条の3第1項)。上の表の各登記がどう扱われるかの細部は、今後の通達で確認が必要です。

⚠️代表住所非表示措置のみを単独では申請できない

⚠️ 氏名変更登記と併せた申出はできない
オンライン申請で代表取締役等の氏名変更・更正登記をする場合、登記すべき事項に便宜上住所も記載しますが、住所は変更の対象ではないため、非表示措置の申出はできません。

💡 原因日付が施行日前でも申出できる
就任や住所移転の日付が2024年10月1日(施行日)より前でも、これから申請する登記と併せて申出できます。ただし、登記懈怠が正当化されるわけではありません。

💡 要件を満たさなくても登記自体は受理される
非表示措置の要件を満たさない場合、非表示措置は講じられませんが、併せて申請した登記は受理されます。その場合は登記所から連絡があると考えられます。

4. 必要書類

申出に必要な添付書類は、会社の状況によって異なります。

① 上場会社の場合

金融商品取引所のホームページの写し等(商号・設立年月日など登記記録上の事項と照合できるもの)を添付します。すでに非表示措置が講じられている場合は添付不要です。

東証上場会社情報サービス
https://www2.jpx.co.jp/tseHpFront/JJK010010Action.do?Show=Show

② 非上場会社(初回申出)の場合

以下の(A)〜(C)の全てが必要です。

書類内容・具体例
(A)本店所在場所の実在性証明書①配達証明書+郵便物受領証(会社商号・本店宛)
②資格者代理人(司法書士等)が作成した実在性確認書面(職印押印必要)
※管轄外本店移転の場合は新本店について証明
(B)代表取締役等の住所の公的証明書類住民票の写し・戸籍の附票・印鑑証明書・運転免許証両面・マイナンバーカード写真面のコピー(本人が「原本と相違ない」と記名したもの)など
外国居住者は日本国領事が作成した証明書も可
※登記申請書に添付している場合は重ねて添付不要
(C)実質的支配者の本人特定事項証明書①司法書士が犯収法に基づき作成した確認記録の写し
②公証人の認証を受けた実質的支配者の供述書(当該年度または前年度のもの)
③設立時の定款認証の際の申告受理及び認証証明書(設立年度または翌年度の申請に限る)
※登記申請日の属する年度またはその前年度に実質的支配者リストの保管申出をしている場合は不要

(A)配達証明書等の注意点

以下の①又は②が必要です

①株式会社が受取人として記載された配達証明書と当該会社の商号及び本店所在場所が記載された郵便物受領証(以下「配達証明書等」といいます。)

配達証明書(ハガキ)

郵便物受領証(レシート)

②「登記の申請を受任した資格者代理人において、株式会社の本店所在場所における実在性を確認した書面(以下 「資格者代理人証明書」といいます。)

※資格者代理人が①の書面を添付することも可能

  • 簡易書留・特定記録の「差出票」の控えには住所欄がないため使えません。宛名・差出人をスキャンしたレシート形式の「書留・特定記録郵便物等受領証」が必要です。
  • 本人申請の場合は資格者代理人証明書は使えません(代理申請時のみ)。
  • 設立登記と同時の申出でも、設立準備行為として会社名義の郵便物を受け取れるため、配達証明書等で差し支えありません。
  • 転送不要郵便にする必要はありません。有効期間の定めもありませんが、配達から相当の期間が経過していると、登記官が確認を行う場合があります(商登規則31条の3第6項)。
  • 印字が不鮮明なときは、配達された郵便物の原本(問合せ番号が同一で、本店所在場所をボールペン等で記載したもの)を併せて提出します。郵便物・配達証明書等とも原本還付を請求できます。
  • 郵便物の宛名は、登記記録上の本店所在場所と合致している必要があります。

💡本店の実在性証明:バーチャルオフィスでも可

バーチャルオフィスやシェアオフィス・レンタルオフィスを本店とする場合も、郵便物を受け取ることができる点が担保されていれば申出可能とされています。ただし、賃貸借契約書は物理的な実在性の証明にはならないため、実在性確認書面としては使えず上記の①か②が必要です。

(B)住所の公的証明書の注意点

代表取締役等の氏名及び住所が記載されている市町村長等による証明書の例

  • 住民票の写し
  • 戸籍の附票
  • 印鑑証明書
  • 運転免許証両面 or マイナンバーカード写真面のコピー(本人が「原本と相違ない」と記名したもの)
  • 外国居住者は日本国領事が作成した証明書 等

※登記申請書に添付している場合は重ねて添付不要

非表示措置を講じる住所(登記を申請する住所)と、住所の公的証明書上の住所は一致している必要があります。

(C)実質的支配者の書面の注意点

  • 株主名簿は使えません。生年月日の記載がなく、登記官の確認も経ていないためです。
  • 議決権の25%超を持つ人がいない場合は、出資・融資・取引等を通じて支配的な影響力を持つ個人、その人もいなければ代表取締役等について書面を用意します(犯収法施行規則11条2項2号・4号)。
  • 公証人の認証を受けた供述書には、実質的支配者の氏名・住所・生年月日を記載します。本店所在地を管轄する公証人以外の認証でも構いません。ひな形は日本公証人連合会のホームページにあります。
  • 司法書士の確認記録の写しを使う場合は、作成した司法書士の氏名と「確認記録に準じて作成した」旨の記載が必要です。犯収法上は確認記録の作成が不要な住所変更登記の場合でも、この書面を使えます。
  • 実質的支配者リストの保管申出後に本店移転・商号変更があった場合や、リストを作成した代表取締役等が退任した場合でも、期間内であれば添付を省略できます。
  • 非表示措置の申出と同日に保管申出をしても省略できます。ただし、非表示措置は保管の決定後(またはその見込みの確認後)に講じられるため、登記の実行までに時間差が生じ、その間は登記事項証明書を取得できません。

③ 非上場会社(すでに非表示措置が講じられている場合)

非上場会社であり、かつ、すでに非表示措置が講じられている場合は、(B)代表取締役等の住所の公的証明書のみで足り、(A)(C)は不要です。

5. 申出の方法

申出は、登記申請書に所定の事項を記載した上で、必要書類を添付して行います(商登規則31条の3第1項後段、通達第2の1(3))。

登記申請書への記載事項

申請書(書面申請の場合)またはオンライン申請の「その他の申請書記載事項」欄に、以下を記載します。

  • 代表取締役等住所非表示措置を希望する旨
  • 対象となる代表取締役等の資格・氏名・住所
  • 添付する書面の種類(実質的支配者リストの保管申出を利用する場合はその旨と申出先)

💡 非表示措置はオンライン申請も可能
登記申請をオンラインで行う場合は、非表示措置の申出もオンラインで行います。「その他の申請書記載事項」に申出事項を入力してください(下記例)。なお、非表示措置の申出単独でのオンライン申請はできません(登記申請と同時の場合のみ)。

その他の申請書記載事項(例)

下記の者につき、代表取締役等住所非表示措置を講ずるよう申し出ます。 
 なお、申し出るに当たって、 
 ・登記の申請を受任した資格者代理人において株式会社の本店所在場所における実在性を確認した書面(PDF)※代理申請の場合
 ・代表取締役等の氏名及び住所が記載されている市町村長等による証明書(PDF)
 ・実質的支配者の本人特定事項を証する書面(PDF)
を添付します。
                 記
  資格 代表取締役 
  住所 神奈川県横浜市XX区X丁目X番地XXマンションXX ※省略せず記載
  氏名 XXXX

TEL:XXXXX

💡 実質的支配者リストの保管申出をしている場合
登記申請日の属する年度またはその前年度に保管申出をしていれば、「実質的支配者の本人特定事項を証する書面」を添付する代わりに、次のように記載します。

実質的支配者情報一覧の保管及び交付について○○法務局○○支局に申出済みです。

登記申請書(住所非表示)の記載例(書面申請)

法務省が公表している書面申請の記載例を転記します(レイアウトは変更しています)。

記載例1:代表取締役の住所移転の登記と併せて住所非表示措置を申し出る場合

株式会社変更登記申請書

1.会社法人等番号 0000-00-000000
  フリガナ    〇〇ショウジ
1.商 号     〇〇商事株式会社
1.本 店     〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号
1.登記の事由   代表取締役の住所変更
1.登記すべき事項 「役員に関する事項」
          「資格」代表取締役
          「住所」○県○市○町○丁目○番○号  ※変更後住所を省略せず記載
          「氏名」○○○○
          「原因年月日」令和○年○月○日住所移転
1.登録免許税   金10,000円

上記のとおり、登記の申請をします。

 下記の者につき、代表取締役等住所非表示措置を講ずるよう申し出ます。
 なお、申し出るに当たって、
 ・株式会社が受取人として記載された配達証明書及び郵便物受領証
 ・住民票の写し
 ・実質的支配者の本人特定事項についての申告受理及び認証証明書
を添付します。
              記
 資格 代表取締役
 住所 〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号  ※変更後住所を省略せず記載
 氏名 〇〇〇〇

令和 年 月 日

申請人
 代表取締役
連絡先の電話番号
     法務局    支局 御中
            出張所

出典:法務省ウェブサイト「申出の記載例1」(https://www.moj.go.jp/content/001422328.pdf)をもとにYOSHIDA OFFICE作成

記載例2:取締役会設置会社が代表取締役の就任の登記と併せて住所非表示措置を申し出る場合

株式会社変更登記申請書

1.会社法人等番号 0000-00-000000
  フリガナ    〇〇ショウジ
1.商 号     〇〇商事株式会社
1.本 店     〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号
1.登記の事由   代表取締役の変更
1.登記すべき事項 「役員に関する事項」
          「資格」代表取締役
          「住所」○県○市○町○丁目○番○号  ※省略せず記載
          「氏名」○○○○
          「原因年月日」令和○年○月○日就任
1.登録免許税   金10,000円
1.添付書類
  取締役会議事録 1通
  就任承諾書   1通
  印鑑証明書   1通

上記のとおり登記の申請をします。

 下記の者につき、代表取締役等住所非表示措置を講ずるよう申し出ます。
 なお、申し出るに当たって、
 ・株式会社が受取人として記載された配達証明書及び郵便物受領証
 ・印鑑証明書(登記申請書の添付書類を援用)
を添付します。
 また、実質的支配者情報一覧の保管及び交付について○○法務局○○支局に申出済み
です。
              記
 資格 代表取締役
 住所 〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号  ※省略せず記載
 氏名 〇〇〇〇

令和 年 月 日

申請人
 代表取締役
連絡先の電話番号
     法務局    支局 御中
            出張所

出典:法務省ウェブサイト「申出の記載例2」(https://www.moj.go.jp/content/001422950.pdf)をもとにYOSHIDA OFFICE作成

💡 ポイント
・登記申請書に添付した印鑑証明書は、「登記申請書の添付書類を援用」と書けば住所の公的証明書として使えます(記載例2)。
・実質的支配者リストの保管申出をしていれば、実質的支配者の書面に代えて申出済みである旨と申出先を書きます(記載例2)。

⚠️登記申請書には住所全部を記載する

非表示措置はあくまで証明書上の表示の特例です。登記申請書自体には代表取締役等の住所を全部記載する必要があります。

💡複数の代表取締役等がいる場合

複数の代表取締役等のうち、一部の者のみ申出を行うことも可能です。全員について申出する必要はありません。逆に、複数の代表取締役の全員について申出することも可能です。

💡管轄外本店移転の場合の申出先

管轄外本店移転の登記と併せて申出を行う場合、非表示措置の申出は新本店所在地の登記所への申請書(連件2/2)に記載します。旧本店の管轄登記所への申請書には記載できません。

⚠️管轄外本店移転の場合は非表示が反映されるのは新本店の登記簿のみで旧本店の閉鎖登記簿には反映されない

⚠️「完了」表示の直後は証明書を取れないことがある

非表示措置は登記完了後に処理されるため、申請用総合ソフトで「完了」と表示されても、すぐには登記事項証明書を取得できない場合があります。

⚠️非表示措置の一時的な解除はできない

融資や取引のために一時的に非表示を解除する、といった申出はできません。表示を戻すには、7章の「希望しない旨の申出」で措置を終了させることになります。

6. 措置の継続と注意点

住所に変更のない重任・再任登記や管轄外本店移転(新所在地)の場合は、改めて申出をしなくても自動的に継続されます。

一方、以下の場合は非表示措置は継続されず、改めて申出が必要です。

登記内容自動継続備考
重任(住所変更なし)✅ する—
重任(住所変更あり)❌ しない再度申出が必要
退任と就任を同時(住所変更なし)✅ する同一人として登記されるため継続
退任と就任を同時(住所変更あり)❌ しない再度申出が必要
管轄外本店移転(新所在地)✅ する—
住所変更❌ しない再度申出が必要(添付書類は住所の公的証明書のみ)
非表示措置が講じられた代表取締役が清算人に就任(住所変更なし)❌ しない再度申出が必要
上場会社が上場会社でなくなった場合(譲渡制限の定めの設定など)❌ しない(措置は終了)代表取締役等の登記と併せて再度申出が必要(7章参照)

⚠️ 最小行政区画内の住所移転も要注意
同じ市区町村内での引越しであっても、住所変更登記が必要であり、変更後の住所について非表示措置を継続する場合は改めて住所非表示措置の申出が必要です。この場合の添付書類は、非上場会社であれば代表取締役等の住所の公的証明書のみで足ります。

💡 辞任と就任を同時に登記する場合
代表取締役等の辞任と就任を1件の申請で登記し、登記されていた住所と就任時の住所が同じであれば、再任として措置が継続します。住所が異なる場合は改めて住所非表示措置の申出が必要です。

7. 措置の終了

以下のいずれかの場合、登記官が職権で非表示措置を終了させます(商登規則31条の3第4項。2026年12月1日以降は第5項)。

  • 会社から「希望しない」旨の申出があった場合(登記所届出印で申出書を押印)
  • 本店所在場所における実在性が認められない場合(登記記録が閉鎖された場合を除く)
  • 上場会社でなくなったと認められる場合(株式譲渡制限の設定登記の申請等。登記記録が閉鎖された場合を除く)
  • 閉鎖された登記記録について復活すべき事由がある場合(会社からその事由がある旨の申出があった場合を除く)

なお、代表取締役が退任しても、または会社が清算結了して登記記録が閉鎖されても、非表示措置は自動的には終了しません。

「希望しない旨の申出」の方法

  • 法務省の様式の申出書に必要事項を記載し、会社の登記所届出印を押印します。代理人による場合は、委任状に登記所届出印を押印します(商登規則31条の3第4項1号・第5項)。
  • 登記申請と併せる必要はなく、単独で申し出ることができます(通達第2の4(1))。ただし、オンラインで申し出ることができるのは、オンラインによる登記申請と併せて行う場合に限られます。
  • 印鑑を届け出ていない会社は、印鑑の届出と同時に申し出ることができます。
  • 対象者以外の代表取締役が申し出る場合でも、対象者の同意書は不要です。
  • 非表示措置を希望しない旨の申出書の様式は、法務省のホームページからダウンロードできます(PDF/Word)。

実在性が認められず終了する流れ

  • 第三者が、会社宛ての郵便物が宛所不明で届かなかったことを示す書面(不達書面)を添えて情報提供すると、登記官が転送不要郵便で会社に通知し、一定期間(2週間程度が想定)内に返送等がなければ措置が終了します(商登規則31条の3第4項2号・第6項、通達第2の4(2))。
  • 情報提供者の範囲に制限はなく、氏名の確認もされません。一方、電話だけの情報提供は端緒になりません。
  • 休眠会社のみなし解散の通知など、登記所からの通知が宛所不明で届かなかった場合も、措置が終了することがあります。
  • 弁護士または簡裁代理認定司法書士が、不達書面を添えて職印を押した上申書を提出した場合は、通知を経ずに終了されることがあります。

⚠️ 本店を移転したら速やかに登記を
本店移転の登記をしないまま旧本店宛ての郵便物が不達になると、措置が終了する原因になります。

上場会社でなくなった場合

上場会社が株式譲渡制限の定款の定めを設定する登記を申請すると、上場会社でなくなったものとして措置が終了します。継続させたい場合は、代表取締役等の登記の申請と併せて改めて申出をします。譲渡制限の設定登記だけを申請する場合は、住所非表示措置の申出はできません(通達第2の4(3))。

まとめ

代表取締役等住所非表示措置は、プライバシー保護の観点からニーズの高い制度ですが、申出できるタイミングが限られており、必要書類も会社の状況に応じて異なります。また、代表者の住所変更の際に申出を失念すると新住所が公開されてしまうリスクもあります。

申出をご検討の方、または今後の役員変更・住所変更・組織再編登記と合わせてご依頼をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

💡 YOSHIDA OFFICEは代表取締役住所非表示措置の申し出(オンライン)に対応しています
ご依頼はこちらから(手続報酬税込22,000円+郵送費1,000~2,000円)

📚 参考法令・資料